振興基金 「建設産業の人材確保・育成に係る現状と課題」公表
  • 2013年06月17日

 (一財)建設業振興基金は、今秋に建設産業界としての体系的な建設技能労働者・技術者の確保・育成に関する方針をとりまとめるため、「建設産業人材確保・育成方針策定会議」(平成25年2月)を設置し、これまでに3回にわたる議論を実施。また、都道府県建設業協会等関係機関の人材確保・育成に係る現状について、意見交換を実施し、取りまとめた「中間報告」を公表した。


■趣旨
 現場施工能力の再生を図り、将来的にも地域を支える足腰の強い建設産業を構築するため、建設産業界として、その担い手となる技能労働者や技術者の確保・育成に体系的かつ積極的に取り組む必要がある。
 昨今の若年者の厳しい就職事情や就業意識の変化等を踏まえ、地域の経済及び雇用を支えてきた建設産業は、就労環境を整え、若年者に魅力的かつ安定した就労の場を提供する役割を担っている。また、建設産業への若年者の就業を促進するにあたっては、工業高等学校等教育機関との連携が重要である。
 建設産業界として、体系的な教育訓練を実施するだけでなく、個々の企業が取り組む教育訓練に対する情報提供や支援、行政との総合的な調整、教育機関との連携または各種広報活動等を行う中核的センターの必要性について検討する必要がある。


■背景
 ▼若者が社会における居場所を築けなくなりつつある日本
 ▼技術・技能継承の危機を迎えている建設産業


■見えてきた課題

 ① OFF-JTを活用した人材育成、教育訓練体系の再構築が必要
    若年労働者の確保・育成は、建設産業全体の課題であるが、施工現場に人的・
   時間的な余力がなくなり、これまでのOJT中心に行われてきた知識・技術・技能
   等の継承が難しくなってきている。
   これは経験の浅い若年層の採用を抑える傾向を生じさせ、かつ、入職した若年層
   が建設業でのキャリアパスや目標を抱けず、早期離職してしまう要因の一つとなっ
   ている。

 ② 施工現場だけでなく、建設業を体験実習する機会を提供する仕組みづくりが必要
   施工現場の余力の喪失は、建設系学科で学ぶ、学生・生徒に対するインターン
   シップ等で受け入れる余力も失わせており、若年層の建設現場に接する機会の
   減少は、建設業からの求人数の減少と併せて、若年層における建設業への就職
   意識の醸成の低下を招いている。

 ③ 行政、学校等、様々なルートを通じて、社会や家庭にわかりやすく建設業の魅力
    や役割を伝える広報が必要
    建設業は、多様な職種があり、モノ作りの醍醐味、成長の喜びがある産業である。
   また、災害時においても地域の安全・安心を守っているにも関わらず、仕事の内容
   や役割が外から見えにくいという側面がある。




 ◇これらの課題に建設業界と教育機関が一体的にと取り組むためには、
  人材の確保・育成に係る中核的センター機能が必要である。







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